| 「と」 時折見せる仕草が妙に色っぽく見えて。脅威の動体視力。見逃すなんてもったいない。君に関する全てに視線を送る。君が頑張っている姿や、俺の応援してくれてる姿。普段の何気ない場面でも、いつも、いつも君をみている。風になびくさらっさらの黒髪とか、サングラスを外した時に見える、俺を睨みつけるような視線とか。どうしてこんなに愛しいんだろう。答えは既に見つかってる。頭の中で、恋愛警報が鳴り響く。今までこの直感は外れたことはないんだ。警戒心の強い君だから本当は、近すぎず、遠すぎずの距離がいいのかもしれないけど。「ねぇ、室町君?」「なんですか?」「もしかして、誘ってるの?」「・・・は?」部活終了後の着替え中にムラムラ来てしまう、至って健全な中学生。 ------------------------------------------------------------------- 突然、先輩に「誘ってるの?」なんて言われたら、かなり動揺すると思う。好きな人だとしたら尚更。だから、冗談は嫌いだと一喝する。すると、貴方は笑いながら、ごめんねと謝るのだろう。この人はいつもそうだ。笑って謝れば、どんなことだって許されると思っているに違いない。俺はため息をつく。それでも許してしまうのは、惚れた弱みなのだろうか。この細く、けれどもしっかりと筋肉のついたカラダは、彼の好きな女の子には遠く及ばない。ふわふわで甘い生物とは、180度違う生物なのだ。多くは望まない。だから、そんなこと云わないで欲しい。もし仮に誘っていたとしたとしても、俺のことなど見向きもしないのでしょう。多くを望んでしまえば、その分、悲しみも多くなる。独占欲なんていらない。束縛なんてできる相手じゃないとわかっているから。だから、そんなことは云わないで。貴方のその一言で、胸のあたりがちくりと痛む。なんて無様な恋の病。 ------------------------------------------------------------------ 閉じ込めてしまいたい。君を攫っていって、誰にも見せずに、俺のものにしたい。身勝手な感情。判っているけれど、とめられなくて。「千石さん、そういう冗談、俺が嫌いなの分かってて云ってるんですか?」なんて、強い双眸で睨みつけられても。君の瞳に映るのが世界中で俺だけならいいと、そう願ってしまった。「いや、あまりにもセクシーな上半身だったからつい・・・」そんなわざとらしい言い訳がまかり通るキャラクターでよかったなと思う。君はため息をついて許してくれるから。今はまだ、冗談だと思ってくれてていいよ。ありったけの理性で、身勝手な感情を無理矢理押し込める。でも、もしそれが解き放たれたら。君を傷つけずに、俺は君を愛せるだろうか。そんなことを考えながら、夜の街をひたすら歩く。心を研ぎ澄まさないと、君を汚してしまう気がした。 |
(2005/9/20)