只今の体温、37.5℃。鼻水も止まらないし、声も枯れ枯れ。関節もちょっと痛い。頭痛はそんなに酷くないけど、これは、明らかに風邪ってやつの症状じゃないだろうか? 正しい看病のすゝめ 「おい神尾。気分はどうだ?」 部活の皆にうつしちゃマズイよなーと大事をとって休んだその日の夕方。薬を飲んで一眠りして起き上がったその横で。どうしてだろう。跡部の声がする。・・・これってもしかして幻覚ってやつ?熱上がってきてんのかなーと声の主をじっと見やる。色素の薄い髪と青い瞳。その左下には泣きぼくろ。このムカつくくらい整った顔。おお、幻覚よくできてんじゃん!!とちょっと笑ってしまう。すると、幻覚の跡部の手がにゅっと伸びて俺の頬をぎゅーっと引っ張った。 「いて、何しやがるこのアホベ!」 「誰がアホだ、バカミオ。俺様をシカトしやがって。夢でも見てんのか?」 俺は頬を押さえながら、夢じゃないのかと納得する。だって、幻覚の跡部だったら俺に手出しできないはずだし。今のは結構痛かった。少しは手加減くらいしろっての。こっちは一応病人な訳だってーのに。あーはいはい本物の跡部ね。跡部。・・・・え、本物? 「あ、あああああ、とべ?」 「何どもってんだよ。バーカ」 「な、なんで俺ん家にいるんだよっ!」 「お前が風邪なんか引いたからじゃねーか」 まったく、これだからバカは困るよなぁとこれ見よがしにため息をつく跡部。どーせ、俺は体調管理もできねぇバカだよーだ。でも、あれ?俺、コイツに風邪引いただなんて云ってなくねぇか? 「お前、なんで俺が風邪だって知って・・・?」 「ああん?俺様はなんでも分かるんだよ」 なんだお前その理由。でも、もしかして心配してきてくれたってことなのか?それはちょっと、いやかなり嬉しいかも。自然と頬が緩む。いつも跡部に云われてるしまりのない顔になっているみたいで、また頬を引っ張られる。痛いってば。よく伸びるだなんて感心してんじゃねぇよ。まったく。 二人でちっちゃなケンカをして。バカだアホだと罵り合って。笑って。笑って。笑って。 「今日は、来てくれてアリガトな」 「まぁ、俺様が見舞いに来てやったんだ。すぐ治るだろ」 時間はすぐに経ってしまってベットの上から跡部を見送る。寂しい訳じゃないけれど、二人で楽しかった分、なんだか心細いような感じ。だからって、泊まっていけともいえねぇし。跡部を見る。コイツはどう思っているんだろう? 「お前、そんな顔すんなっての」 「な、どんな顔だよ!」 「俺様がいなくなったら寂しい、って顔してるだろーが、あーん?」 「してねぇ」 「してるっつーの。今日はこれくらいで我慢しろ」 唇に柔らかな感触ひとつ。
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