GUITY PAIN
ふらりとが蛇神の家に遊びに来た日のこと。
「暑いね。」
隣でが呟いた。
「本当、暑い。」
夏だからしょうがないけどさ、と付け足すように呟いた。
それが訳もなく悲しそうで、蛇神はたまらずを抱きしめた。
「何か、あったのだろう?」
虚ろげな瞳は蛇神を真っ直ぐに捕らえようとしない。
云いたくないのなら無理に聞くまいと蛇神は思う。
それでも、気になるのは人の性だ。
今にも泣きそうな顔をした、
それも自分の一番愛しい人をほっておくことは出来なかった。
「・・・?」
思わず手に力が入ってしまう。
キツイだろうと、そっと力を抜こうとするとの手が其れを拒む。
其れは悲しみの訳を話してくれるという合図だ。
「あたしね、蛇神が居なくなる夢を見たの。」
小さな声が蛇神の耳元で囁く。
悲しみの理由。
其れが自分だと思うと切ない。
「蛇神が何処にも居なくてね、牛尾に聞いても、鹿目ちゃんに聞いても、
誰に聞いても知らないって云うの。」
「我は、死んだのか?」
居なくなる方法は逃亡、あるいは死であろうか。
「違う。最初から居なかったことになってるの。あたしだけ、」
「は覚えていてくれていたのか?」
「そう、ちゃんと覚えてたよ、蛇神のこと。」
「・・・・有難う。」
君が自分を覚えてくれていたことが嬉しい。
「だって、忘れられる筈ないじゃない。蛇神のこと忘れるなんて出来ないから。」
重なっていた手が存在を確かめるように蛇神の頬を撫でる。
優しい其れが微かに震えていた。
「忘れなくてあたしはずっと蛇神を探すの。」
「ずっとか?」
「ずっとよ。」
当たり前じゃないと笑ったの笑顔が何時もよりも綺麗だった。
「・・・・それで我は見つかったか?」
が首を横に振る。
「探しても探しても蛇神は居なくてね、あたしはおばあちゃんになったわ。」
ごめんねと小さく謝られる。
蛇神は被りを振った。有難うと云いたくて出来なかった。
の夢の中の自分は何処にいるのだろう?
こんなにも自分を想ってくれている人がいるというのに。
「おばあちゃんのあたしは尊という名の犬と一緒に、」
そこでは蛇神に口付けた。
「割と幸せに暮らしました。」
にししと笑っては蛇神から離れた。
もう悲しくないから大丈夫だというように。
それでも蛇神は何故だか離し難くなっての服の裾を掴んだ。
「甘えてるの、ソレ?」
嬉しそうにが云った。
「我は・・・・・が嫌だというまで居なくならない也。」
本当は嫌だと言われても離したくないのだけれど。
夢の中のように居なくなったりは決してしないと誓った。
決して離したりはしないと誓った。
悲しみは出来ることなら自分が拭ってやりたいと思う。
其れが出来ないのならばせめて、
せめて自分が出来る限りのことをしてあげたいと思う。
其れはときに傲慢で、おせっかいと呼ばれるけれど、
其れが君の自由を拘束しているとしても、
やらずには要られない。
君が笑ってくれないと世界は悲しみで沈んでしまうから。
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錯診サマに押し付けてしまった作品。