嬉しくて、嬉しくて、言葉に出来ない。


スピロキセネ


俺の誕生日は8月だから、跡部よりもちょっとお兄さんだなと俺が言うと、
バカ、お前俺より年下じゃねーかと突っ返された。

そうだ。跡部は中学三年生。橘さんと同い年だ。
今年で卒業してしまう。
もう、一緒に試合なんて出来ない。
そう思ったらなんだか涙がでてきて、止まらなくなって、跡部に抱きついた。

「何泣いてんだバカ」

俺が泣いてる理由を説明するとため息をついた。
跡部は格好いい。
絶対に云わないけど格好いい。
どんな仕草も何もかも大人びていて、
でもなんでだろう。年上って感じがしない。
だから呼び捨て。バカにしてるとかそんなもんじゃないんだ。
そんなもんじゃない。


「俺様がなんでお前と一緒に遊園地なんて行ってると思ってんだ?」


そう、此処は遊園地。ちなみに観覧車の中で二人っきり。
平日だからか人も少ない。

「暇だったから?」

俺は友達に貰った遊園地のチケットでもって跡部を誘ったのだった。

「バーカ、お前脳みそ沸いてんじゃねーの?」

おでこにヒットするデコピン。

「痛ってーな何しやがる、このアホベ!」
「うるせーよ、バカアキラ」

いつもこんな感じ。
年齢とかそんなの関係なくて、いっつも憎まれ口叩いて・・・・。

でもいつからか好きになってた。
好きで好きでしょうがなくなってた。
前は大嫌いだったのに、チケットを貰って一番に跡部と行こうと思った。



「お前が好きだからに決まってんだろ。」




跡部から告白されて早三ヶ月。
ABCと一通りのステップを辿った。
でも遊園地にくるのは初めてだった。
跡部がこんな所、くるとは思ってなかったから。
『子供っぽい。』
そんな言葉で片付けられそうだったから。
でも、どうしても行きたくて、好きな人と遊園地に行くのは俺の夢だったし、
俺へのプレゼントだと思って!!と必死で誘った。
そしたら案外あっさりとOKを貰えて、
あまつさえこんな甘い言葉を貰ってしまっている。


嬉しい。
なんていうか、嬉しいって云う表現の最上級って感じ。
でも跡部はこんなこと誰にでも言うのかもしれないと思ったら泣きたくなってきた。
跡部はよくモテるし、俺とのデートのときだって女の人に逆ナンされてたし・・・。

そんなことを思うと腹が立ってくる。俺というものがありながら!!
なーんて女々しいな、俺。


「何一人で百面相してやがるんだ、あーん?」

跡部が俺のほっぺたをプニプニしてくる。

「ちょ、やめろって、くすぐってぇ」
「ヤメロといわれるとやめたくなくなるんだよ俺は」


プニプニプニプニ。

中学生の男子二人が観覧車に乗ってじゃれあっている。

なんかおかしい。


「あー跡部はさ、俺のこと、好き?」

思い切って聞いてみる。
今日は誕生日だし!頑張れ俺!!

「キライだっていったらどうすんだ?」

跡部がニヤニヤしながら笑う。
本当にコイツは意地悪だ。

「べ、別になんともしねーよ」

嘘。
絶対に泣く。喚く。
深司がぼやきはじめるまで永遠ににずっと。


「俺はお前が一番好きだし、それはずっと変わらねーよ。それに、
お前が俺をキライになったって離したりなんて絶対にしねーからな」



ああ、なんて殺し文句なんだろう。


俺はちょっと感動してしまった。
跡部、格好よすぎ。
でも俺は嬉しすぎて何も云えなくなってしまった。


「何か云えよ、恥ずかしいだろうが///」


あの跡部が照れてる。


「俺だってな、本気なんだからな」


「お前が一番好きなんだからな」



嬉しくて、嬉しくて、言葉に出来ない。




帰り道、花屋さんに寄った。
そこで俺はスピ・・なんとかという花を買ってもらった。
俺の誕生花らしい。
なんで知ってるんだ?と尋ねたら、忍足さんがハマっているらしい。
本当だろうか、今度岳人さんに聞いてみよう。

「なぁ、これってなんか意味あるの?」

俺はそのスピなんとかって花を指差した。
黄色の明るい感じの花だ。

「Seeking light、お前にピッタリな花だな」

そう云って跡部は帰っていった。


俺は家で英語辞書を広げた。
母親に熱でもあるんじゃないかと心配された。
煩い!俺だって英語くらいやるっつーの!!

えーと、lightは光、
Seekingは見る、求める・・・・・。

訳すと・・・・。



もし跡部が光だとしたら、俺はこの花になれるだろうか。
光を求めて、光に愛されて、キレイな花を咲かせられるだろうか。

貴方が愛してくれるなら、
貴方を求めてもいいだろうか。

満天の星空を見上げながら、
俺は跡部からの「HAPPY BIETHDAY」というメールに
「有難う」と返信したのだった。


END

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神尾誕生日おめでとう!!
やっとベカミかけました。
てか短いかもしれない。一時間はかかってるけど。

跡部からの贈り物、神尾の誕生花、小金梅笹
(の同じキンバイザサ科のスピロキセネを今回は使用)
の花言葉は「光を求める」です。
常に太陽の如く光を放ってる跡部を好きな神尾にはぴったり?
あとは、ユウゼンギク 「老いてもご機嫌」てのもあったんですが。(笑)

お二人の老後がステキなものになることを願ってます。

2003/08/26